オタクデザイナーの備忘録

オタクデザイナーの備忘録です。

絶交した友人と、5年ぶりに再会した話

 

5年前の高校生の時、遅刻癖やその他が許せず絶交した友人がいた。

遅刻自体がよろしくないことには変わりないのだが、その一因が精神的な病気によるものであったことが、5年後たまたま見つけたSNSで判明した。そんな事情は全く知らなかったものだから、私は彼女に必要以上にキツく当たってしまったことに謝罪を申し入れ、また彼女も私を許してくれた。

 

(詳しくはその時の記事へ)

mananafff.hatenablog.com

 

今回はその友人と会ってきた話である。

 

 

【きっかけ】

和解といっても100%以前のような関係に戻った訳ではないが、一応私と彼女は和解していた。SNSの文章で少し会話をした程度だったけど。

 

それからというものの、私は彼女がこの5年間どう過ごしていたかが気になっていた。なんとなくのことは知っていたが、実際に会って聞きたいと思っていた。

しかし実際にそれを申し出ることは思いあぐねていた。

私から一方的に絶好したので、私に会うことで嫌なことを思い出させるのではないかと感じていたからだ。

そんな矢先、私の就職が決まり、今後実家のある埼玉には帰省以外ではもう戻って来ないかもしれないという状況になった。これをきっかけに思い切って会う約束を取り付けたのだった。

 

 

【再会】

兎にも角にも再会した。彼女は以前と変わらず私に話しかけてくれた。くれたのだが。当の私はと言うと、あまり明るい気持ちで彼女と接することが出来なかった。いきなり「やっほ~元気だった?」みたいに話しかける気分にもなれなかったし、どういう風に彼女本人と向き合うべきか分からなかった。

結果、終始テンションが低い状態になってしまい、これに関しては大変申し訳なく思っている。

私から誘っておいて自分勝手な人間なのは承知している。重ね重ね、申し訳ない。

 

 

【対話】

この5年間何をしていたか、のほかにも、他愛のない話もした。時間にして2時間くらいだっただろうか。

彼女と私は高校の頃、お互いの夢を語り合った。彼女は漫画家、私はデザイナーを目指していた。

 

私は高校卒業後、浪人を経て美大に進学した。今回決まった就職先というのも、デザイナーとしての採用だった。

彼女は高校卒業後、(個人情報なので詳しい言及は避けるが)病気その他の事情でプロの漫画家ではなく違う仕事に就いていた。

 

正直に言うと寂しかった。でも世の中、志望していた仕事に全員が就ける訳ではないことも分かっていた。

小さい頃、夢を語り合った友人たちの中で、ほとんどその通りになった人は私の周りにはいない。世の条理としては至極当たり前であるが、私はこの現実について今も結論は出せてはいない。

ただ、自分が今まで努力してきた以上に、周りの環境や人の支えに恵まれていたことを改めて感じ、感謝した。

 

それでも、何の仕事をしているかより彼女が健康に過ごせることが何よりだと思った。

 

 

彼女は私と会えたことを嬉しいと言ってくれた。私はそれを受け止めた。

ただ、以前のように頻繁に遊ぶような仲には、今は出来ないと思った。

元はと言えば、双方の物や時間に対する価値観の違いでの仲違いだった。私と彼女の価値観は、おそらくかなり異なる。

頻繁に会うことで、いずれどちらかがどちらかに配慮する比重が大きくなってしまうだろう。

5年前は彼女の言動を「許せない」と思い向き合うことをしなかったけれど、今は尊重したいと思っている。

 

 

そんなこんなで、彼女と私は別れた。

 

 

【価値観】

私は、今まで地元の小中学校隣町の県立高校という、良くも悪くも狭い世界で過ごしていた。

家も、ごくごく一般的なサラリーマンの中流家庭だった。

それが東京の大学に入って、一気に色々な人と接する世界が増えた。

 

美大ということを差し引いてもダイバーシティに富んでいた。色々な経歴や事情の人がいた。

彼女のように、表面的には分からないけど実は病気や事情と向き合っている人もいた。

 

何より色々な価値観の人がいて、それを真っ向から否定する人もいなかった。

「貴方と私の考え方は違うし理解は出来ないけど、それは人それぞれだものね」というスタンスの人が多かった。

そういう環境で揉まれ、自分の「許容範囲」が広くなったと思う(というか今まで狭すぎた)。

 

先述の通り、私は以前の彼女を「許せない」と切り捨て、そこから考えようとしなかった。

でも今は、スタンスや価値観の違いであったと思う。気づくのに5年もかかってしまったけれど。

そういう見識が広がったということが、今回の和解に繋げられたのだと思う。

(もちろん一番の理由は相手が私を許してくれたからである。)

 

 

 

 

これからも、どうか身体には気をつけて。